ステップ1・いまどこにいるか
米インフレ率は3.7%、1年前は3.0%
データは2026年9月まで。自らの歴史と比べると64(やや熱い)です。このページは今後どうなるかは扱いません。当サイトのデータで、どの要因が過去いつも先に動いてきたか、それぞれが今号どちらに押しているかを見ていきます。
ステップ2・何が先に動くか
データで確かめられた7つの要因(4分類)
当サイトは59指標のすべての組み合わせで予測の検定を行いました(方法は関係図のページ)。米インフレ率に先行し、しかも最も頑健な層(3つの検定をすべて通過し、実際に予測が良くなり、別の計算方法でも成り立つ)は7つです:
- 信用と金融ストレス:信用スプレッド、OFRストレス――平常より速く上昇すると(借入が高くなり、市場が引き締まる)、その後米インフレ率は下がりやすい
- エネルギー:原油――平常より速く上がると、その後米インフレ率は上がりやすい
- 原材料と農産物:商品総合、食料、銅――平常より速く上がると、その後米インフレ率は上がりやすい
- 不動産:各国の実質住宅価格――平常より速く上がると、その後米インフレ率は上がりやすい
「先行する」は「原因になる」とは違います。検定で分かるのは、これらの変化が先に現れ、予測に役立つことです。両方が第三の要因に動かされている可能性は排除できません。原油と食料はそれ自体がインフレの構成項目(エネルギー、食料)なので、先に動く分の一部は計算上のものです。
ステップ3・今号それぞれどちらに押しているか
原材料と農産物、エネルギーが押し上げ、不動産、信用と金融ストレスが押し下げ
押す力=その要因の最近の変化が自らの平常とどれだけ違うかを、過去の関係にあてはめて、その後の米インフレ率が何ポイント高く(+)または低く(−)なるかに換算したものです。今後の変化はすべて平常とみなし、予想はしません。
| 要因 | 米インフレ率との関係 | 過去12か月 | 自らの過去と比べた押す力の強さ | 関係が成り立つ頻度 | 押す力が強いとき、その後同じ向きだった割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 商品総合 | 平常より速く上がると、その後米インフレ率は上がりやすい | +47.8% データは2026年9月まで | 歴史の92パーセンタイル | 10年区間の67% | 69%(259か月) |
| 原油 | 平常より速く上がると、その後米インフレ率は上がりやすい | +71.8% データは2026年9月まで | 歴史の90パーセンタイル | 10年区間の58% | 69%(259か月) |
| 食料 | 平常より速く上がると、その後米インフレ率は上がりやすい | +15.8% データは2026年9月まで | 歴史の64パーセンタイル | 10年区間の42% | 63%(259か月) |
| 銅 | 平常より速く上がると、その後米インフレ率は上がりやすい | +45.0% データは2026年9月まで | 歴史の32パーセンタイル | 10年区間の42% | 64%(259か月) |
| 信用スプレッド | 平常より速く上昇すると(借入が高くなり、市場が引き締まる)、その後米インフレ率は下がりやすい | +0.03ポイント データは2026年9月まで | 歴史の34パーセンタイル | 10年区間の56% | 57%(207か月) |
| OFRストレス | 平常より速く上昇すると(借入が高くなり、市場が引き締まる)、その後米インフレ率は下がりやすい | +0.08 データは2026年10月まで | 歴史の51パーセンタイル | 10年区間の50% | 71%(99か月) |
| 各国の実質住宅価格 | 平常より速く上がると、その後米インフレ率は上がりやすい | −1.5%(8経済の中央値) データは2026年第2四半期まで | 歴史の45パーセンタイル | 10年区間の40% | 79%(73四半期) |
7つの押す力は7本の別々のモデルから出ていて互いに重なっている(たとえば商品総合の約57%は原油で、食料も含まれます)ため、押す力は足し合わせられません。当サイトはひとつの点数にもまとめません。見るのは向きです:4つが押し上げ、3つが押し下げ。
ステップ4・過去は当たったか
多くの要因が同じ向きに押していたとき、その後1年間の米インフレ率がその向きに動いたのは62%
2001年2月から2025年9月まで、月次の6要因(各国の実質住宅価格は四半期データのため、ここでは数えていません)の多くが同じ向きに押していた月は245か月あり、その後12か月間に米インフレ率がその向きに動いたのは62%でした。裏返せば、38%は動きませんでした。
単独の要因の押す力が強いとき(自らの歴史で最も強い3分の1)、その後同じ向きだった割合は57%~79%(表の最後の列)。当時までのデータだけで計算し直すと56%~77%です。どの関係もすべての年代で成り立つわけではなく、成り立つのは10年区間の40%~67%にとどまります。
ステップ5・次号で何を見るか
3つの注目点
- 商品総合、原油の上昇が続くかどうか。今号の押し上げは主に過去1年の大幅な上昇によるものです(商品総合 +47.8%、原油 +71.8%)。上昇が止まれば、押す力は時間とともに小さくなります。
- 各国の実質住宅価格の次の四半期。最も強く押し下げている要因ですが、データは2026年第2四半期までで、ほかの要因より3か月遅れです。
- 信用スプレッド、銅。いま押す力が最も小さい要因です(信用スプレッド −0.09、銅 +0.15)。小さいからといって重要でないわけではなく、大きく動けば押す力も大きくなります。
考えてみよう:もし商品総合が来月から動かなくなったら、表のどの欄の押す力が先に小さくなるでしょうか?原材料と農産物と不動産の綱引きで、押す力が長く続くのはどちらでしょうか?
このページが示さないこと
読む前に
- これは米インフレ率の予測ではありません。押す力は「ほかの条件が変わらない」ときの、単独の要因の過去の平均的な効果です。
- 7つの押す力は7本の別々のモデルから出ており、足し合わせられません。
- 米国のコアインフレ(食料とエネルギーを除く)に先行する要因は、当サイトのデータの最も頑健な層にはひとつもありません。このページは総合インフレについてです。
- 売買の助言はしません。
方法と修正の記録
どう計算したか、何を変えたか
- 要因:関係図のページの「最も頑健な層」のうち米インフレ率に向かう関係をすべて、選ばずに載せています。毎年10月のデータ分析で計算し直します。
- 押す力:同じ予測検定のモデル(米インフレ率の変化を、自らの過去12か月+要因の過去12か月で説明。四半期データは4四半期)で、要因の直近12か月と平常との差を今後6か月、12か月に換算。毎号計算し直します。別のプログラムで別の方法により計算し直し、数字はすべて一致しました。
- 修正1(結果を見てから変更、そのまま記録):最初の版は「7要因の過去12か月の上昇が平常より速いか遅いかを数え、12か月後を見る」ものでした。これは成り立ちませんでした。多くが押し上げた後にインフレが上がったのは61%、多くが押し下げた後も63%上がっていました。原材料の効果は早く現れて早く消え、1年前の上昇は1年後には前年比から抜け落ちるためです。そこで、予測検定のモデルそのもので押す力を計算するように改めました。
- 修正2(そのまま記録):当初は「反応が最大になる月」で要因を「数か月」と「1年前後」の2群に分ける予定でしたが、7つとも11~15か月目に最大となり(前年比は変化を完全に反映するのに1年かかる)、分けられませんでした。そこで同じ要因を2つの期間、今後6か月と今後12か月で並べています。